前納報奨金制度とは?
普通徴収分の市県民税(住民税)や固定資産税といった地方税について、市県民税は毎年6月頃、固定資産税は毎年4月頃に1年分の税金が記載された納税通知書が届きます。
これらの税金は、通常は年4回に分けて納付することになっています。
- 第1期:6月末
- 第2期:8月末
- 第3期:10月末
- 第4期:1月末
- 第1期:4月末
- 第2期:7月末
- 第3期:12月25日頃
- 第4期:2月末
しかし、最初の納期(第1期)までに全期分を納付することも可能です。つまり、1年間の税金を一括で納めてしまう方法なのですが、その場合、年税額から一定額が割引される場合があります。
この制度のことを「前納報奨金制度」といいます。
税金を前払いしてくれたら少し割引してくれる制度ですね。
自治体側としても前納してくれる方が滞納されるリスク等も減らせることができるので、このような制度ができたのかもしれません。法律でも根拠が示されているので、以下に載せておきます。
(個人の市町村民税の納期前の納付)
第三百二十一条 個人の市町村民税の納税者は、納税通知書に記載された納付額のうち到来した納期に係る納付額に相当する金額の税金を納付しようとする場合においては、当該納期後の納期に係る納付額に相当する金額の税金をあわせて納付することができる。
2 前項の規定によつて個人の市町村民税の納税者が当該納期の後の納期に係る納付額に相当する金額の税金を納付した場合においては、市町村は、当該市町村の条例で定める金額の報奨金をその納税者に交付することができる。但し、当該納税者の未納に係る地方団体の徴収金がある場合においては、この限りでない。
3 前項の報奨金の額は、第一項の規定によつて納期前に納付した税額の百分の一に、納期前に係る月数(一月未満の端数がある場合においては、十四日以下は切り捨て、十五日以上は一月とする。)を乗じて得た額をこえることができない。
地方税法
(固定資産税に係る納期前の納付)
第三百六十五条 固定資産税の納税者は、納税通知書に記載された納付額のうち到来した納期に係る納付額に相当する金額の税金を納付しようとする場合においては、当該納期の後の納期に係る納付額に相当する金額の税金をあわせて納付することができる。
2 前項の規定によつて固定資産税の納税者が当該納期の後の納期に係る納付額に相当する金額の税金を納付した場合においては、市町村は、当該市町村の条例で定める金額の報奨金をその納税者に交付することができる。但し、当該納税者の未納に係る地方団体の徴収金がある場合においては、この限りでない。
3 前項の報奨金の額は、第一項の規定によつて納期前に納付した税額の百分の一に、納期前に係る月数(一月未満の端数がある場合においては、十四日以下は切り捨て、十五日以上は一月とする。)を乗じて得た額をこえることができない。
地方税法
難しく書いていますが、要は税金を前払いしてくれたら割引できる制度を市町村は作れますよ、ということです。
前納報奨金制度の対象者は?
対象者は以下の条件を満たした方です。
- 第1期の納期限までに全期分(第1期~第4期)を納付すること
- 市税等に滞納がないこと
当然、過年度の税金に滞納があればこの制度の対象にはなりません。その他、市町村によって条件が定められている場合がありますので、お住まいの市町村に問い合わせてみてください。
現在、前納報奨金制度を実施している市町村は?
ここまで、前納報奨金制度の概要について説明してきましたが、現在どれくらいの市町村がこの制度を実施しているのでしょうか?
結論から言いますと、現在、前納報奨金制度を実施している市町村はほとんど無いと思われます。私の住んでいる近隣の市町村を調べてみましたが、実施しているところはありませんでした。愛知県の日進市などはまだ実施しているようですが、どこの自治体でも縮小・廃止の傾向にあるようです。
廃止の理由としては、自治体の財政事情や、納税者間の公平性の欠如等が主なものだそうですが、割引の恩恵が受けられなかったらあまり一括で納付するメリットはないのかなぁ、と思ってしまいますよね。
是非多くの自治体で復活を検討してほしい制度です。
まとめ
以上、地方税における前納報奨金制度について解説しました。
税金を一括で納める動機にもなる制度なのですが、現在はどこの自治体でも廃止傾向にあることは非常に残念です。
しかし、まだ実施している市町村もあるようなので、詳しくはお住まいの市町村の役所に問い合わせてみるのが確実だと思います。
以下の記事で税金の一括納付と分割納付の違いやそれぞれのメリットについて解説していますので、ご一読していただけますと幸いです。