カメラを始めたばかりの方は、フォーカスの設定はカメラが自動で狙った箇所にピントを合わせてくれるAF(オートフォーカス)を使用することが多いかと思います。
AFモードでピントを合わせる際、デフォルトの設定だとシャッターボタンを半押ししていますよね?カメラ購入時の状態であれば、シャッターボタンを半押しすることで被写体にピントを合わせ、さらにシャッターボタンを押し込むことで、シャッターを切ることができます。これはカメラを始めたばかりの方でも理解されていらっしゃると思います。
しかし、今回ご紹介する『親指AF』とは、ピントを合わせる工程を、シャッターボタンの半押しではなく、別のボタンに割り当てる設定なんです。
初めて聞いた方はよく分からないですよね。『そもそもそんな事して意味があるの?別に半押しのままでいいじゃん。』と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
私もカメラを始めたばかりの頃は親指AFの意味がよく分からなかったのですが、実際に設定して撮影してみると、ビックリするぐらいピントを合わせるのが楽になりました!手ブレやピンボケなどの失敗写真を出すことも少なくなりました。もちろん、今でもずっと親指AFを活用しており、半押しにはもう戻れない状態です。(笑) 一度覚えてしまえば、とても便利な設定なので、是非皆さんにも覚えて頂きたいです^^
親指AFとは?
カメラを購入時のデフォルトの設定では、AF(オートフォーカス)はシャッターボタンの半押しでピント合わせを行います。
しかし、親指AFはこのシャッターボタンの半押しでピントを合わせていた工程を、カメラの別のボタンに割り当てることを意味します。具体的には、その名の通りカメラを持った時に親指で押せるようなボタンにAFを割り当てることになるのですが、シャッターボタンを押す指(通常なら人差し指)とAFでピントを合わせる指(親指)を分離させることが親指AFの特徴です。
1つのボタンにまとまっていたものを何故わざわざ分離させる必要があるのか?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、AF機能を別のボタンに分離させてあげることで、様々なメリットが生まれます。
親指AFの設定方法
カメラメーカー(ニコン、Canon、Sonyなど)やカメラのグレードによって親指AFの設定方法は異なります。以下にざっくりとした流れを記載しておきます。より具体的な設定方法の流れは、お持ちのカメラの取扱説明書をご参照ください。
中級機・高級機:AF-ONボタンを使用
ニコンのD5やD850、Canonの5D Mark IVなどの中級機以上のカメラの場合は、AF-ONボタンが搭載されています。カメラをグリップした際に、丁度親指で押せるような位置にAF-ONボタンがあるので、このボタンでピントを合わせていきます。
具体的には、デフォルトのままだと、シャッターボタンの半押しの機能の設定は『測光+AF』などになっていると思うので、ここからAFの機能を外します。AFの機能をAF-ONボタンに集中させます。
エントリー機:AFボタンを割り当てる
エントリー機では、AF-ONボタンが配置されていませんので、自分で割り当ててあげる必要があります。
カメラをグリップした時に、丁度親指で押せるような位置に『AEロック』『※』のボタンがあることが多いです。この『AEロック』『※』ボタンにAF機能を割り当てることで、上記のAF-ONボタンと同様の効果を得られますので、これで親指AFが可能になります。
親指AFのメリット
親指AFに設定するメリットは主に以下のとおりです。
- フォーカスロックが簡単になる
- 置きピンが楽
- AF-Cをより有効に活用できる
- グリップ力が増す
フォーカスロックが簡単になる
フォーカスロックとは、一定位置にピントをロックして撮影するテクニックです。
デフォルトの設定の場合は、シャッターボタンを半押しする事でフォーカスロックできます。例えば、人物を構図の左側に持ってきたい場合は、まず人物を構図の真ん中でピントを合わせてから、半押ししたままの状態でカメラを右側にずらす事で意図した構図にしていきます。
しかし、親指AFの場合は、AFボタンを押してピントを合わせた後、ボタンを指から離せばピントは固定されますので、実質的にフォーカスロックの状態になります。あとは、普通にシャッターボタンを押すだけでOKです。
シャッターボタンを半押しし続けないで済むので、安定感の向上にも繋がります。
また、親指AFはフォーカスロックを同じ構図で連続して撮影したい時に、さらに威力を発揮します。
シャッターボタン半押しの場合は、1度シャッターを切ったら、もう一度ピントを合わせ直す必要があります。しかし、親指AFの場合は、もう一度AFボタンを押さない限り、ずっとピントは固定されます。なので、半押しの時のような、またピントを合わせ直す…という工程は不要になります。
親指AFならシャッターボタンを離してしまっても、フォーカスロックしたままなので、同じ構図で何枚も連続で撮影する事が可能です。
置きピンが楽
置きピンとは、電車など、動く被写体の撮影の際に使われるテクニックです。動線上にあらかじめピントを合わせておき、電車がポイントを通過するタイミングでシャッターを切るというものです。
AFがシャッターボタン半押しの設定の場合で置きピンをする時は、ピントを合わせている間はずっと半押ししたままでの状態で待機しておく必要があります。
一方で、親指AFの場合は、一度AFボタンを押してピントを合わせ終われば、あとはボタンを離しておいても大丈夫です。
被写体が来るまでずっとシャッターボタン半押しして待機するのは中々辛いものです(-.-;)しかし、親指AFであれば、一度ピントを合わせてしまえば、あとはボタンに触れる必要はありません。
AFではなくMF(マニュアルフォーカス)にしてもこの問題は解決できるのですが、一々切り替えるのも面倒ですし、私は親指AFの方が使い勝手は良いと思っています。動体撮影が多い方で、置きピンを多用される方にとっては非常にメリットは大きい思います。
AF-Cをより有効に活用できる
AF-C(コンティニュアス)とは、動体撮影の時によく使われるAFモードで、被写体を追従してピントを合わせてくれるモードです。一方、カメラを購入した時の設定はAF-Sとなっており、このモードはピントが合ったあとは追従することなく、ピントは固定されているはずです。AF-Sモードは、AF-Cモードとは逆で、動かない被写体の撮影に向いています。
AF-S(シングル)モードとAF-C(コンティニュアス)モードの概要については以下の記事が参考になります。
親指AFであれば、シャッターボタン半押しと比較して、AF-Cモードを有効に活用できます。
具体的には、親指AFだとAF-Cモードでも置きピン、狙った箇所にピントを固定する事ができます。
AFをシャッターボタン半押しで行なっている場合だと、半押ししている間は被写体を追従してピントを合わせます。そして、一度指を離して、シャッターを切るために再度シャッターボタンを押すと、またピントを合わせようとするので、ピントを固定することができません。
しかし、親指AFであれば、AFボタンを押している間は被写体を追従し続けますが、ボタンを離せばピントは固定されます。なので、わざわざAF-Sモードに切り替えなくても、ピントを固定させることができるので、動きの少ない被写体にも対応することができます。このことから、親指AFはまさにAF-CモードとAF-Sモードのいいとこ取りの設定方法だと言えるでしょう。
グリップ力が増す
親指AFにすることで、人差し指でシャッターボタンを、親指でAFボタンを押すことになります。2本の指でボタンを押し込むことになるので、グリップ力がアップし、安定感の向上に繋がります。それにより、手ブレを抑える効果も期待できます。
おさらい!これだけは覚えておこう
最後におさらいにはなりますが、親指AFでAF-Cモードを設定した場合で、最低限これだけは覚えているとカメラスキルがグッと上がります。
- AFボタンを押す → ピントが合う
- AFボタンを押し続ける → 追従してピントを合わせ続ける
- AFボタンを離す → ピントが固定される
親指AFのデメリット
シャッターボタン半押しと比較して、親指AFのデメリットは正直見当たらないのですが、強いて言えば、以下のようなものが挙げられます。
- 長い間シャッターボタン半押しを使っていた方にとっては慣れるまで少し時間が掛かる
- 旅行先などで他人に写真を撮ってもらう時に、一々説明する必要がある
カメラのピントを合わせるのは『シャッターボタンを半押しする』という認識が、世間一般だと思うので、旅先で写真撮影をお願いする時は、一言説明が必要かと思います。
しかし、デメリット以上にメリットの方が圧倒的に大きいので、親指AFに移行することを私はオススメしたいです(^^)
まとめ
今回は、親指AFについて解説させて頂きました。
まだ世間一般的には、ピントを合わせるのはシャッターボタンを半押しするという認識を持っている方が多いと思います。もちろんシャッターボタンの半押しが全く悪いとは言いません。しかし、親指AFに設定することで、半押しにはない非常に多くの恩恵を受けることができますし、撮影の幅が大幅に広がります。
慣れるまでは少し戸惑うかもしれませんが、一度慣れてしまえばもう半押しには戻れないと思うので、カメラスキルの向上のためにも、是非実践して頂ければ幸いです!
では、良いカメラライフを!^^