ローンや税金の支払いや、借り入れの返済が滞ってしまった時に、『督促状』や『催告書』といった書面が届きます。
口座引き落としの残高不足やうっかり忘れてしまっていたことから支払いが遅れてしまい、督促状が届いていたけど、『忙しいからまた今度時間ができたときに支払いに行こう』といって後回しにしてしまっていませんか?
『督促状』や『催告書』といった書面が届いてしまったら絶対に無視や後回しにしてはいけません!書面が届いたにも関わらず、さらに支払いが遅れてしまうと、最悪、財産を差し押さえられる可能性もあります。
今回は、『督促状』と『催告書』の違いや届いてしまった場合の対処法について解説させて頂きます。
『督促状』とは
『督促状』とは、支払いや返済を促すための手紙と考えて頂ければいいと思います。
支払い、返済が遅れていると、債権者(銀行カードローンなどであれば貸手の銀行、税金であれば国や自治体のことをいいます)から督促状が書面で届きます。
借り入れの返済など、民間の債権者に対する返済や支払いの遅滞の場合は、初めて届いた書面はそれほど厳しい文面ではなく、支払いを促す内容となっている場合が多いです。しかし、届いた督促状を無視していると、それ以降も督促状が届けれることになりますが、文面も徐々に厳しいものになってくることが多いです。
督促状には特に法律などで決まった様式はないので、各債権者ごとに細かい文面は異なりますが、支払金額や支払期日、担当者の連絡先など、記載の内容は殆ど同じです。
また、詳しいことは後述しますが、税金の場合の督促状は民間の借金等のものとは取り扱いが異なります。支払いを促すという意味では変わらないのですが、税金の場合の督促状は、国や自治体が滞納者の財産差押を行うための前提の条件(法律に規定)となっています。
『催告書』とは
『催告書』は、『支払いを迫る最後通知』というべきものです。
督促状を無視し続けていると催告書が届き、文面も督促状と比べると非常に厳しい内容になっていることが多いです。税金以外の借金等の場合は『指定期限までに支払いがなければ、法的手続きに移行します』といった内容になっていることが多く、裁判所への法的手続きの寸前の段階になっているので注意してください。
税金の場合、催告書が届かなくても差押される可能性がある
税金の場合は、催告書の意味合いが異なります。
上記でも述べたように、税金の場合で、滞納処分(財産差押)の前提条件は『督促状を送ること』でした。厳密には督促状を発送してから起算して10日を経過した時点で差押が可能になるのですが、督促状を発送するだけで財産を差し押さえられる可能性があるということです。
しかし、法律では『催告書』の発送は滞納処分の前提条件とはなっていません。つまり、国や自治体は、催告書の発送を飛ばして、督促状→差押ということも法律的には可能ということです。しかし、現実的にはこのようなことはあまりされていません。行政側としてもできれば自主的に納付してほしいと思っているので、督促状を送っても反応がなければ、催告書を送付して自主的な納付を促している自治体が殆どです。
『督促状』と『催告書』の違い
『督促状』と『催告書』の違いについてですが、まずは上記で述べているように文面が催告書の方が厳しい内容になっていることが多いです。督促状を送っても反応がない人、無視している人に対して送る書面なので、より支払いを促す強い文面になっています。
もう1点の違いとしては、催告書は内容証明郵便や配達証明郵便で届けられることです。内容証明郵便は、郵便局が内容を確認し、いつ手紙を出したかを証明してくれるものです。配達証明郵便は、いつ相手方に手紙を届けたかを証明してくれるものです。このような形式で送付する理由は、届けられた側に『そんな書類届いていない』としらを切られないようにするためでもあります。
また、催告書を送ることで、時効が迫っている場合、時効が6ヶ月間延長するという効果もあります。厳密には延長という表現は正しくはないのですが、考え方としては、催告書を発送すると6ヶ月間時効が伸びると思ってもらって大丈夫かと思います。その間に法的手続きを取る必要がありますので、内容証明郵便等で催告書が届いてしまった場合は、法的措置寸前の、かなり危険な事態になっていることが予想されます。
無視した場合は最悪財産の差押が行われます
税金の支払いや借り入れの返済が滞っており、督促状や催告書が何度も届いているにも関わらず、相手方に何の連絡もせずに放置していることは非常に危険です!
もし長期間無視していると、法的措置により給与や不動産などの財産を差し押さえられ、強制的に換価・取立され、滞納金に充てられてしまいます。大切な財産が差し押さえられることを防ぐためにも、督促状や催告書の無視や放置は絶対にやめてください。
税金の督促状・催告書の無視は最も危険!
借金の返済等とは異なり、税金の滞納処分の規定は法律で厳格に定められていますので、督促状が届いた時点でいつ財産を差し押さえられてもおかしくはない状況といえるのではないかと思われます。
以下は、住民税(市町村民税)に関する滞納処分の規定です。
(市町村民税に係る滞納処分)
第三百三十一条 市町村民税に係る滞納者が次の各号の一に該当するときは、市町村の徴税吏員は、当該市町村民税に係る地方団体の徴収金につき、滞納者の財産を差し押えなければならない。
一 滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して十日を経過した日までにその督促に係る市町村民税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。
二 滞納者が繰上徴収に係る告知により指定された納期限までに市町村民税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。
地方税法
税金と借金等の民間の債権の滞納処分の流れは、大きく異なります。
詳しく説明すると長くなるので省略しますが、簡単に説明すると、民間の債権は督促→催告→裁判所へ法的手続きといったような流れで取立を進めていきますが、税金の場合は裁判所を経由せずに税金の徴収担当者の判断で直接財産の差押を執行すること(自力執行権といいます)ができてしまいます。
差押の要件(督促状の発送など)を満たしている状態で、徴収担当者が差押をするといえば即座に差押が執行されてしまうので、税金関係で督促状や催告書などの書面が届いてしまったら早急に対応しておいたほうが安全です。
督促状・催告書が届いた場合の対処法
督促状や催告書は届かないことが一番(滞納しない)なのですが、万が一そのような書面が届いてしまった場合の対処法についてご説明します。
指定期日までに支払う
まず、可能ならば遅れている分の未払い金を指定されている期日までに支払いましょう。
当初の期日から遅れていることもあるので、おそらく遅延損害金(延滞金)が加算されているとは思いますが、それも含めて指定期日までに支払いを済ませます。指定の金額さえ入金できれば、それ以降連絡はくることはなくなるでしょう。
うっかり支払いを忘れていたときや、未払い金を一括で完済できる余裕がある場合は、指定期日までに支払いを済ませてしまいましょう。
支払いができない事情があるなら必ず担当者に連絡する
指定期日までに支払いをすることが原則ではありますが、過去から滞っていた分を一括で支払うということは難しい方もいらっしゃるかと思います。
指定期日までに未払い金を完済できない事情がある場合は、必ず担当者に連絡しましょう。
その際に、支払いができない理由などを正直に伝えることで、支払いの猶予や、分割での支払いで認めてくれる可能性があります。支払いができないからといって放置しておくことは絶対にしてはいけません!必ず連絡をして対応を仰ぎましょう。
まとめ
今回は、督促状と催告書について解説させて頂きました。
うっかり支払いを忘れていて、初めて書面が届いたときにはとても驚くかとは思いますが、書面の内容をしっかり確認して頂き、冷静に対処すれば大きな事態には発展することはありませんので安心してください。
しかし、何度も述べているように督促状や催告書が届いているにも関わらず、書類を放置していると後から大変なことになりますので、たとえ一括での支払いが難しくても連絡だけは必ずしてくださいね。