初めて一眼レフカメラデビューした方にとって、絞り値(F値)の扱いは難しく感じる方もいらっしゃるかもしれません。そもそも絞り値って何だ?という方もいらっしゃるかと思います。
憧れの一眼レフカメラを購入し、まずやってみたい表現といえば、『ボカす』ことではないでしょうか。背景をボカして撮影したい…かくいう私自身もそうでした。笑
この『ボカす』ための重要な要素として、今回解説する絞り値(F値)を理解することが必要不可欠なんです。
今回は、スマホのカメラやコンデジから初めて一眼レフカメラデビューした方に向けて、絞り値の概要や扱い方について、分かりやすく説明しています。カメラのスキルアップに直結する項目でもあるので、時間のある方は是非読んでみてください(^^)
絞りとは
まず絞りとは、レンズ内部にある部品のことで、カメラに取り込む光の量を調節する役割があります。
この絞り(穴)の大きさを広げたり絞ったりすることで、レンズからカメラに入る光の量を増やしたり減らしたりすることが可能になります。
絞りを広げると、一度に多くの光を取り込むことができます。逆に絞りを絞るほど、一度に取り込める光の量は少なくなります。まずはこの原理について覚えましょう。
絞り値(F値)について
絞り値とは、レンズを通って撮像素子上に写る像の明るさの値のことです。・・・ちょっと難しいですね。
簡単に言うと、上記の『絞り』の開き具合を数値に表したものをいいます。カメラではこの絞り値を『F値』と表します。
カメラはこの絞りの開き具合、つまりF値により取り込む光の量を調節するのですが、まずはこれを覚えてください。
- F値を小さくする→絞りが開き、取り込む光の量は多くなる
- F値を大きくする→絞りが絞られ、取り込む光の量は少なくなる
絞り値はF1.4、F2、F2.8、F4、F5.6、F8、F11、F16、F22、F32のように表されます。
この場合、F1.4は最も絞りが開いている状態で、多くの光を取り込みます。逆にF32などは、絞りの穴が非常に小さい状態で、取り込める光の量も少ないです。対応するF値の範囲はレンズによって変わります。
一般的に小さいF値に対応できるほど、レンズ本体も高価になります。
カメラでF値を設定するには、露出(撮影)モードで絞り値優先モード(A・Av)に設定する必要があります。絞り値優先モードについては以下の記事をご参照ください。
絞り値とボケ(被写界深度)の関係
冒頭で一眼レフカメラでボカす写真を撮るためには絞り値を理解することが大切と書きました。
ピントの合う範囲をコントロールすることで、背景をボカした写真を撮影することができるのですが、このピントの合う範囲を絞り値により調節することができます。
絞り値(F値)を変えると、ピントが合う範囲が変わります。
絞り値(F値)を大きくするほど、ピントが合っている部分の前後もピントが合っているように写ります。つまり、ピントが合っているように見える範囲が広くなります。
逆に、絞り値(F値)を小さくするほど、ピントが合って見える範囲は狭くなります。
ピントを合わせた位置に対して、その前後のピントが合っているように見える範囲を「被写界深度」といいます。
この被写界深度をコントロールすること(=絞り値を変えること)で、ピントを合わせた以外の範囲(前景及び背景)をボカして表現したり、全体をクッキリ見えるように表現したりすることができるんですね。
- F値を小さくするするほど、背景や前景がボケる
- F値を大きくするほど、全体にピントが合うように見える
絞り値と画質の関係
絞り値と画質の関係も簡単に解説します。
一般的に、レンズの画質における性能ですが、端から中央部分にかけて画質は良くなります。つまり、中央部分の性能が最も高いわけなので、ある程度絞った状態の時が最も高画質になります。一眼レフカメラの場合、F5.6〜F8ぐらいが最も解像度が高いと言われています。
しかし、絞り値を大きくしすぎると(絞りすぎると)、光の回折現象により解像度が低下してしまいます。回析現象とは、絞りの穴が小さくなることで起きてしまう現象なのですが、詳しく説明すると物理の世界になってしまうので、絞り値を大きくしすぎると画質が低下してしまう、ということだけ覚えておいてもらえればまずは大丈夫かなと思います。
イメージセンサーが小さいほど、この回折現象は起こりやすく、回折現象が目立ち始める目安として、35mmフルサイズでF11から、APS-S規格でF8から、マイクロフォーサーズ規格ではF5.6からと言われています。参考にしてみて下さい。
絞り値と明るさの関係
絞り値(F値)は、ボケ(被写界深度)以外にも、写真の露出(明るさ)にも影響を及ぼします。
これまでに述べてきたことにも関連することなのですが、絞り値(F値)を変えることで、光の取り込む量を調節するということを説明しました。
F値と光の量の関係として、F値が小さくなれば、取り込める光の量が多くなり、F値が大きくなれば、取り込める光の量が少なくなるということでしたね。
光を多く取り込めば、当然明るい写真になります。
つまり、F値を小さくするほど、カメラに取り込める光の量が多くなり、明るい写真を撮ることができます。逆に、F値を大きくするほど、取り込める光の量が少なくなるので、適正露出(明るさ)を得るためには、小さいF値と比較して、より長いシャッタースピードで光を取り込む必要があります。
レンズによって、F値の性能は異なりますが、そのレンズの最も小さいF値(開放絞りと言います)が最も明るく撮影できる状態です。暗い場所での撮影の際には有効です。
絞り値(F値)別使用シーン
以下に、絞り値(F値)別の使用シーンについて、簡単にまとめてみました。ですが、必ずこのシーンで使わなければいけないと言うことはないので、F値の特徴を理解してきたら、三脚等も活用して、さまざまな表現で撮影してもらうのが良いと思います。
F値1.4~2.8 | ・背景をボカしたい ・暗い場所で手持ちで撮影したい |
F値4~5.6 | ・スナップ写真 ・ボケすぎず、シャッタースピードもそれなりに必要な場合 |
F値8 | ・風景写真 ・全体をシャープに写したい |
F値11~ | ・ボカしをなくしたい ・スローシャッターで撮影したい |
まとめ
今回の記事のまとめです。必要最低限で覚えていただきたい項目を表にまとめておきます。
F値 | ボケ具合 | 明るさ |
小さい | 大きい(ボケる) | 明るい |
大きい | 小さい(全体シャープ) | 暗い |